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治療体験談(7)

妻とふたりで、のりこえました

~普通の生活がおくれる喜びを実感しています~
T.K.さん(男性 50歳代)と 奥さま

監修:清水 力 先生(北海道大学病院 内科II/検査・輸血部)

T.K.さんは下垂体腫瘍の手術を受けた後も、体調がすぐれず、やる気の起きない毎日が続いていました。様子がおかしいと先に気づいた奥さまの助けもあり、成長ホルモン治療を始めて、ようやく元の活動的な生活に戻ることができました。患者さんご本人より、周りにいるご家族がその症状に早く気づいて、適切な治療にたどり着いたお話をT.K.さんと奥さまにうかがいました。

-下垂体腫瘍が発見されたときのことを教えていただけますか?

[T.K.さん]
 夏の暑い日にも、あまり汗をかかないので「おかしいなぁ」と感じました。パソコンで仕事をしていて、数字の6が8に見えたり、耳の聞こえが悪くなった気もしたので、脳神経外科でMRI 検査をしたところ、下垂体のうしろに腫瘍が見つかって摘出手術をしました。そのときは、症状がはっきりとあったわけではないのですが、いま思うと異常に疲れていましたね。妻にもよく「あなた疲れてるわよ」と言われていました。思うように体も動かないし、やる気が出てこないのです。
[奥さま]
 もともと活動的でスポーツしたり、多趣味だったのですが、まったく意欲がないというか、外に出ていく感じがなくて。仕事がきつくて大変なのかな? 私自身も疲れているから、そう感じるのかな?何かおかしいなと感じました。

-下垂体腫瘍の手術後、どのような経緯で成長ホルモン治療を始めましたか?

[T.K.さん]
 術後も体調が悪くて、回復するには時間がかかるのだろうと思いましたが、疲れやダルさがずっととれなくて、ボーっとしている感じが続いていました。それで内分泌内科を受診してみました。
[奥さま]
 主人の場合は、ほぼ全部のホルモンが足りない汎下垂体機能低下症(はんかすいたいきのうていかしょう)といわれる状態でした。手術後2種類の薬をいただいて復職できたのですが、本調子ではないようで、なかなか回復しませんでした。とても疲れてつらそうに見えました。
 それから、改めてインターネットや本などで調べて、清水先生に診ていただくことになりました。入院して詳しく検査をした後、まずは男性ホルモンの補充から始めて、2ヵ月くらい経ったころに、成長ホルモン治療を始めることになりました。

-治療に対して不安はありましたか?

[T.K.さん]
 注入器の使い方も簡単ですし、看護師さんが「細い針なので大丈夫」と丁寧に教えてくれたので不安はまったくありませんでした。むしろ治療に対する期待の方が大きかったです。成長ホルモン治療をしたらどんなふうによくなるのかな? と。実は言われるがままにというのが正直なところでしたが、やってよかったと思っています。

-治療を始めて変わったと感じられることはありますか?

[奥さま]
 主人の様子がすぐに変わったと感じました。まったく違いました。気持ちが沈んだり、苦しんでいる人がそばにいると、どよ~んとした、そういう気配が伝わってきますが、それがスッと晴れて家の中も明るくなった感じです。そのころは、結構けんかもして、どうしてこうなるんだろう?とつらかったのですが、この治療のおかげで立ち直っていけました。こんなふうに笑って話せる生活に戻れたのは、成長ホルモン治療のおかげだと思います。
[T.K.さん]
 治療を始めて間もなく、病気になる前のように、何かやってみようという気になりました。仕事も、以前より前向きに考えられるようになりました。趣味もぼちぼちと再開して、畑やゴルフを始めました。50歳になって新しいことを始められて、楽しんでいます。娘たちも安心して地方に飛び立っていき、妻もふたりの時間を楽しみたいと言っています。旅行にも行きたいですね。治療のおかげで、こうしてごく普通の生活に戻れた喜びを実感しています。

-同じ病気で悩んでいらっしゃる患者さんにメッセージをお願いします。

[T.K.さん]
 あまり知られていない病気ですし、患者自身は、気づきにくいこともあると思います。私の場合、妻が気づいて、いろいろ調べてくれたおかげで、成長ホルモン治療にたどり着くことができました。家族や周りの人が気づいてくれるということも、大切だと思います。

主治医のコメント

 T.K.さんは初診の際ご夫婦で来院されましたが、特に奥さまの不安げな表情が強く印象に残っています。検査結果や日常生活の状態から性腺ホルモンと成長ホルモン補充を追加し、現在では充実された生活を送っておられます。成長ホルモン補充療法を行う際には検査を行い、一定の基準を満たさなくてはなりませんが、自分で注射をするということ以外は難しいことはありません。どうも身体が元の調子ではないと感じられるようでしたら、成長ホルモン不足による可能性も考えられますので、一度専門医にご相談されることをお薦めいたします。

監修:清水 力 先生
北海道大学病院 内科II/検査・輸血部

*患者さん用のパンフレットより掲載致しました。掲載記事の内容は、一人の患者さんの体験談であり、すべての患者さんに同じ効果を示すわけではございません。