【 ご確認ください:推奨環境

治療体験談(8)

看護師さんと泣いて喜びました

~大好きな料理ができるようになって~
E.K.さん(女性 70歳代)

監修:藤尾 信吾 先生(鹿児島大学病院 脳神経外科)

E.K.さんは、下垂体腫瘍を発症していたのですが、原因がわかるまで、たいへん長い時間がかかり、つらい日々を過ごされていました。手術を受けた後、成長ホルモン治療を始められて、健康的な日常生活を取り戻すことができました。大好きな料理が再びできるようになって、ご家族と旅行に行かれるまでに回復されました。

-下垂体腫瘍が発見されるまで、どのような状態だったのでしょうか?

 私、半分死にかけていたんです。はじめは吐いてしまって、食事がとれなくなって、2ヵ月で15kgも体重が減りました。具合が悪いのに、なかなか原因がわからなくて、つらくて、ずっと不安で、それこそ神頼みのようなこともしました。鹿児島大学病院で診ていただくことになって、ようやく最後の検査で脳に腫瘍がある病気だということがわかりました。ここまでたどり着くまでが本当に大変でした。

-手術をして治療することに不安はありませんでしたか?

 脳腫瘍がわかったときも、ふらふらしていて自力で立っていたかどうかさえ覚えていません。先生が「私に任せてください」とおっしゃってくださって、家族と一緒に説明を受けて手術することになりました。私たち家族は、脳下垂体の機能やそこから分泌されるホルモンのことも知りませんでしたが、先生が丁寧に何度も説明をしてくださいましたので、手術への不安はありませんでした。

-成長ホルモンの治療を注射で行うことについてはどのように思われましたか?

 1日1回、自己注射を行う治療と聞いて正直驚きました。注射をずっと打たなくてはならないことや、お薬を必ず飲まなくてはならないことは、やはり不安でした。それでも、病気がいい方向に向かうという期待もありましたし、元気になるならばと始めました。

-治療を始めて変わったと感じられたことはありますか?

 注射をするようになってから元気が出てきたように思います。主人や孫の野球やサッカーの応援で、鹿児島県からはるばる石川県まで行けるようになりました。それも注射を始めてからだと思います。

-お元気になられて病気になる前の生活に戻られましたか?

 私だけでなく家族も、病気になる前とほとんど変らない生活に戻りました。ただ、1日ずっと動いているのはやはり難しく、疲れるのは仕方がないと思います。でも、日常生活はほとんど変わらなくなって、料理もできるようになったことが、とても嬉しいです。
 病気で苦しい時期には料理はまったくできませんでした。料理が大好きなのに、できなくなったことが一番ショックでした。食欲がなくなったことで、食べても吐いてしまって…つらかったですね。食べられるようになったときには、看護師さんといっしょに泣きました。

-これからはどのように過ごしていきたいですか?

 いまは週に1回泳ぎに行っていて、プールでお友達に会えるのが楽しみです。娘たちは「無理をしないで、長生きしてね」と言ってくれます。孫のためにも、みんなのためにも、そうできたらいいなと思っています。

-同じ病気の患者さんにメッセージがありましたらお願いします。

 私の場合はなかなか原因がわからなかったので、ここまでたどり着くまでがとても長くて大変でした。私と同じ症状の人がいるのであれば、早いうちに必ず調べてもらいなさいと伝えたいです。早いうちに受診して、苦しい思いから救われれば、それが一番ですね。

主治医のコメント

 E.K.さんは食欲の低下や全身の倦怠感が出現し始めてからさまざまな病院を受診しましたが、原因が分からず、最後にはうつ病と診断されていました。その後、下垂体ホルモンの補充が始まり、手術で腫瘍もすべて摘出されましたが、術後も倦怠感が続いていました。成長ホルモン治療を開始してからは表情も明るくなり、とても活動的になられた印象です。このように下垂体腫瘍により下垂体機能低下になった患者さんに、適切なホルモン補充療法を行うことはとても大切なことです。医療従事者の間にも、下垂体機能障害、特に成長ホルモンの分泌障害が引き起こす症状をもっと知ってもらう必要があると感じています。

監修:藤尾 信吾 先生
鹿児島大学病院 脳神経外科

*患者さん用のパンフレットより掲載致しました。掲載記事の内容は、一人の患者さんの体験談であり、すべての患者さんに同じ効果を示すわけではございません。